【1月2日 AFP】シンガポールの治療院で患者の背中をマッサージしてくれる「エマ(Emma)」は、人の手のひらと親指に似せた温かいシリコンの先端部と白い金属製の腕を持つハイテクロボットだ。開発者によると、エマは、人の手による指圧やマッサージの触感を完璧に再現し、中国医学の伝統的なマッサージ療法「推掌(Tui na、すいな)」を施術してくれるという。

 開発したのは、地元のITベンチャー企業「アイトリート(AiTreat)」。エマは「エキスパート・マニピュラティブ・マッサージ・オートメーション(Expert Manipulative Massage Automation、触診マッサージ専門自動装置)」の略語だ。

 伝統的な中国治療院ノバ・ヘルスTCMクリニック(Nova Health TCM Clinic)では68シンガポールドル(約5600円)を払うと、背中をはじめ、痛みのある部位に対してエマによるマッサージ30分、人間の施術師によるマッサージ5分、そして約20分のはり治療を受けられる。

 中国・北京で医学を学んだ後、現在は同クリニックに勤務しているキャリスタ・リム(Calista Lim)さんによると、エマのおかげで仕事量が減り、さらに多くの患者の治療に専念できるようになったという。

 リムさんはAFPに、「人間は疲労を感じたり、天候の影響で、仕事量を増やしたくないと思ってしまうこともあります」と語り、「でもエマは、私が命令すれば(いつでも)働いてくれます」と付け加えた。(c)AFP/Roslan Rahma