【10月18日 AFP】拳銃の購入に待機期間を設けることを義務づけることで、年間数百人の命が救われるとする研究結果がこのほど、発表された。米国の研究チームは、待機期間の導入で、銃による殺人の発生率が17%減少するとしている。

 査読学術誌の米科学アカデミー紀要(PNAS)に16日に掲載された論文によると、米国では銃に関連する死亡事件が年間3万3000件以上発生しているという。

 米ハーバード大学(Harvard University)の研究チームは、銃の購入希望者に対して、実際に銃器を入手できるまでの待機期間を設けることを義務付ける法律と、各州で銃器関連の死亡数がどのように変化したかを調べた。

 研究チームは、こうした法律を導入していない州と導入している州とで、1970年~2014年の期間における銃による死亡率を比較した。この期間中、44州が何らかの形で待機期間を設けていた。

 論文によると、「待機期間は、銃による死亡者数が平均的な州で、銃による殺人事件の年間発生件数約36件の減少に関連していた」とされ、また「銃による自殺の年間約22~35件の減少」にも同様に関連していたという。

 論文の第2部では、1990年~1998年の期間を重点的に分析している。この期間にはブレイディ法(Brady Act)として知られる連邦法が成立し、19の州が拳銃の待機期間を新たに導入することを義務づけられた。

 同期間では、待機期間が「銃による死亡者数が平均的な州で、銃による殺人事件の年間発生件数約39件の減少と、銃による自殺の同約17件の減少に関連」していた。

 2014年の時点で、銃の購入に待機期間を義務づける法律を導入している州は、米首都ワシントン(Washington D.C.)を含む17州だけだった。これらの地域では「待機期間の法律により、年間約750件の銃による殺人が回避された可能性が高い」と、論文は指摘している。

 待機期間の法律を成立させる州が増えれば、はるかに多くの命が救われる可能性がある。

「待機期間の政策を他のすべての州に拡大することで、銃を所有可能な人々に規制を課すことなく、さらに年間910件の銃による殺人を回避できると考えられる」と、論文は結論づけている。(c)AFP