【10月17日 AFP】(写真追加、更新)イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の「首都」とされたシリア北部ラッカ(Raqa)全域が、4か月の戦闘を経て、米軍の支援するクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」によって制圧された。

 同軍報道官はAFPに対し、「ラッカで全てが終わった。われわれの部隊がラッカを完全に制圧した」と語った。さらに「ラッカにおける軍事作戦は終了したが、潜伏工作員を見つけ出す掃討作戦に加え、地雷の撤去作業が現在行われている」と明かし、「ラッカ解放を宣言する公式声明も間もなく出されるだろう」との認識を示した。

 これに先立ち、英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」も、ラッカ市内のISの最後拠点とされていた競技場をSDFが占拠したと発表。「米主導の有志連合の支援を受けたSDFが競技場周辺域を急襲して大部分を一掃した後、公立競技場の掌握に成功」し、「IS戦闘員の大半が投降」したと伝えていた。

 その一方、シリア人権監視団は同日、SDFがラッカ奪還作戦を開始した6月初め以降、戦闘による死者は少なくとも3250人に上り、うち3分の1以上に当たる少なくとも1130人が民間人だと発表している。また現在も数百人以上が行方不明のままで、空爆や砲撃などにより建物のがれきに閉じ込められている可能性もあるという。

 ISは2014年にラッカを占拠。シリアとイラクの支配地域に「カリフ制国家」の樹立を宣言し、ラッカを事実上の首都と定めていた。以後ラッカはISによる残虐行為を象徴する都市になると同時に、海外での攻撃の計画拠点とも位置付けられてきた。(c)AFP