【10月17日 AFP】17日のサッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2017-18)では、レアル・マドリード(Real Madrid)とトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)とのグループH上位対決が行われる。この試合では、世界最高の選手と評されるレアルのクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)と、得点能力でそのロナウドに迫ると言われ、今季のチャンピオンズリーグでは同選手よりもゴールを決めているハリー・ケイン(Harry Kane)に注目が集まる。

 昨季は欧州の舞台で躍進することができなかったトッテナムだが、今季は好調ケインがチームの6得点中5得点を稼ぐ活躍を見せていることもあり、一転してボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)とアポエル・ニコシア(APOEL Nicosia)から連勝を収めている。

 とはいえ、敵地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)での戦いは、ケインとチームメートにとって厳しいものになることが予想される。前年王者のレアルは、こちらもドルトムントとアポエルを退けてトッテナムを待ち構えており、ロナウドもすでに今大会で4得点を記録している。

 トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ(Mauricio Pochettino)監督は、スペインのラジオ局COPEの番組で「相手は世界最高のチームだから、自分たちの実力を試す良い機会だ。われわれは若いチームで代表選手も多いが、こういう試合の経験はあまり多くない。この試合は根本的な部分のテストになる」と語った。

 ケインの才能にほれ込んでいるポチェッティーノ監督は、自身がイングランド代表ストライカーへの「愛」を繰り返し告白するあまり、夫人がやきもちを焼いていると明かした。それでも指揮官は「彼は間違いなく、世界で最も乗っているストライカーの一人だ。数字がそれを物語っている」とケインを絶賛している。

 たしかに最近のケインの成績は素晴らしく、ここ10年間かつてないレベルで得点を量産してきた二人の選手――つまりロナウド、リオネル・メッシ(Lionel Messi)と比較されるほどだった。ケインが9月に記録した13得点は、ロナウドとメッシの一か月間の最多得点数に並ぶ数字だった。

 大勝したアポエル戦で今季6回目のハットトリックを達成したあと、ケインは「僕は世界有数の選手になりたい。だからみんながいろんな数字を集め、あれだけの選手たちに近いところにいると思わせてくれるのはすごく励みになるし、もっと近づこう、次の段階へ上がろうという気になる」と話していた。

 24歳のケインには時間がたっぷり残されているが、ロナウドやメッシと同じ高みに達したと証明するまでの道のりはまだ長く、二人が見せてきた安定感も足りていない。ケインも「常にトップレベルを保つこと。それがすべてだ」と話している。

 ポチェッティーノ監督の下でイングランド・プレミアリーグ上位に躍進しているトッテナムだが、クラブ自体も安定感が足りず、タイトルには手が届いていない。昨季もリーグ戦ではチェルシーに次ぐ2位に入る健闘を見せながら、チャンピオンズリーグではグループリーグ敗退、その後のヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2016-17)も決勝トーナメント1回戦で敗退と、インパクトを残せなかった。チャンピオンズリーグでは、ケインをけがで3試合欠いたのも響いた。

 トッテナムとレアルで最も差が大きいのは選手層の部分で、昨季のレアルがロナウドを定期的に休ませながら国内リーグとチャンピオンズリーグの2冠を達成したのに対し、トッテナムにそこまでの余裕はなく、今季のチームが挙げたゴールの半分以上はケインが記録している。

 ポチェッティーノ監督は「彼には素晴らしい得点能力と、信じられない意志の強さがある。常に向上心を絶やさない偉大なプロフェッショナルだ。この先10年で、彼は世界最高峰のストライカーの仲間入りを果たすだろう。彼にはその決意がある。もちろん能力もね」と話した。

 ただし、そうした能力を決して見逃さないのがレアルというクラブでもある。ここ数年でルカ・モドリッチ(Luka Modric)とギャレス・ベイル(Gareth Bale)をレアルに引き抜かれたトッテナムは、質の高い選手を引き付けるレアルの力を特によく知っている。

 そしてアルバロ・モラタ(Alvaro Morata)が退団し、キリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)も最終的にパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)を選んだ今、日刊スポーツ紙マルカ(Marca)の前週の報道によれば、レアルの最大の補強ターゲットとして浮上しているのがケインだという。(c)AFP/Kieran CANNING