【11月5日 AFP】バルコニーのうっそうとした茂みを、太陽の光がまだらに照らしている。イタリア北部ミラノ(Milan)の中心部に建設された2棟のマンションは青々とした木々に覆われ、ほとんどその姿が見えないくらいだ。

 この「垂直の森」を設計したのは、イタリアの建築家ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)氏だ。全部で2万本以上の植物が使われている。同様のプロジェクトが中国からオランダまで、世界の国々で進められている。

 ミラノに建設された最初の「垂直の森」はサッカーのイヴァン・ペリシッチ(Ivan Perisic)選手などセレブも暮らすマンションで、ビジネス街ポルタノーバ(Porta Nuova)が一望できる、誰もがうらやむ立地だ。

「垂直の森」の構想はボエリ氏の木に対する思い入れと、木を「建築に不可欠な要素」にするという決意から生まれた。特に、地球温暖化に立ち向かう武器にしたいとの思いが強かった。

「2007年、私はドバイ(Dubai)で、砂漠の真ん中から都市が成長していくのを見た。ガラス張りのビルが200棟以上建設され、熱による影響が急増していった」

 ドバイのようなやり方ではなく、「生命を受け入れ、公害の緩和に貢献できるような何かを作りたい。木々は微粒子や二酸化炭素(CO2)を吸収できるから」とボエリ氏は語る。(c)AFP/Céline CORNU