【10月14日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が12日に、欧州諸国がフィリピンを国連(UN)から追放しようとしていると非難し、そうした国々の大使を24時間以内に国外追放すると発言した問題で、エルネスト・アベリャ(Ernesto Abella)大統領報道官は13日、大使らを国外追放する計画はないと発表した。

 アベリャ報道官は12日夜に声明を発表し、ドゥテルテ大統領が大使らを国外追放すると発言したことを認めたものの、翌13日に記者団に対し、大使らを国外追放せよという指示は出されていないと述べた。

 アベリャ報道官は、ドゥテルテ大統領が怒りをあらわにしたのは、フィリピン・マニラ(Manila)を訪れた欧州諸国の議員や関係者らの少人数の一団が今月9日に記者会見を行い、多数の死者が出ている同国の麻薬戦争を非難したという報道がきっかけだと説明。「大統領は基本的に、自分が読んだ記事の内容に反応している」と述べ、大統領は報道されている内容が正しいと「想定していた」と付け加えた。

「つまりこれは基本的に、クリティカルに(正確さや妥当性などを評価しながら)報道することや、クリティカルにニュースを読むことが必要だという、私たちにとっての教訓でもある。大統領は、国家主権を侵害された時にどんな指導者でもするであろう反応をした。われわれはメディアに正確な報道をしてほしいという大統領の要請を聞き入れるよう求める」(アベリャ報道官)

 大使らを国外追放するというドゥテルテ大統領の「脅迫」を受けて、EUの駐フィリピン代表部は、今回フィリピンを訪れたのはEUが派遣した代表団ではないと発表。アベリャ報道官も13日、EU代表部の発表は正しいと認めた。

 今回フィリピンを訪れた欧州諸国の議員らの公式声明や地元の大手メディアによる報道によれば、この議員らの一団が、フィリピンが国連から追放されるとの見通しを示した事実はない。ドゥテルテ大統領がなぜ、欧州の議員らが国連からのフィリピン追放を望んでいると考えるに至ったのか、アベリャ報道官は明らかにしなかった。(c)AFP