【10月15日 CNS】「当時は鉄のようだった男も、今では魔法瓶片手に飲み物を飲むただのおっさんになった」。最近、このフレーズがインターネット上で流行している。中国大陸の代表的ロックバンド「黒豹楽隊(ヘイバオ、Heibao)」のドラマー・趙明義(Zhao Mingyi)さんが魔法瓶を片手に持った写真がインターネットに投稿されたことで、知らず知らずの間に意外な「魔法瓶経済」ブームを引き起こしていた。

 「黒豹楽隊」は1984年に中国で結成されたロックバンドで、メンバーの多くがすでに40代だ。趙さんが魔法瓶を手にとって飲み物を飲む写真が、思いがけない形で「火」をつけた。70年代、80年代生まれのファンが共鳴したことも一因かもしれないが、多くの中国企業もこの「思いもよらない」展開を商機と受け止めた。

「近年、消費者の購買意欲は強烈です」。インターネット通販のプラットフォーム「淘宝(TaoBao)」で魔法瓶の販売を専門的に行っている「古琪(Guqi)」の徐康華(Xu Kanghua)店長は記者にそう語った。累計で十数万個のグラスやコップを売り出したこのインターネットショップにとって、今年は保温カップや魔法瓶の売れ行きも好調で、売上数は急激に20~30%まで伸びたという。

「オンラインでの通販店と実店舗で、数十種類の魔法瓶の人気が爆発しており、総販売量は前年同期と比べても倍以上です」。取材時に対し、「蘇寧易購(Suning.com)」南京(Nanjing)大区生活電器購買部の庄沢(Zhuang Ze)マネジャーもとても驚いていた。

 庄マネジャーは、季節的要因に加え、黒豹楽隊が影響していると見る。実店舗からの報告によると、来店するなり「黒豹楽隊と同じものはある?」と尋ねる客がいるそうだ。