【10月13日 AFP】米国とイスラエルは12日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)から脱退すると表明した。国際機関から距離を置く米政府の姿勢を改めて浮き彫りにする動きだ。

 米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官は声明で「この決定は軽々しく出されたものではない。ユネスコでの(分担金)滞納の増大や、根本的な組織改革の必要性、さらに反イスラエル的偏りの継続に対する米国の懸念を反映したものだ」と説明している。米国の脱退は2018年12月21日付で、その後は「オブサーバー使節団」をユネスコに派遣する。

 米国はロナルド・レーガン(Ronald Reagan)政権時の1984年にも、不適切な財政管理や反米的な政策を理由にユネスコから脱退。その後2002年にはジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権が復帰を発表したが、2011年にはパレスチナの正式加盟が承認されたことを受けバラク・オバマ(Barack Obama)政権が分担金拠出を停止し、再び関係が悪化していた。

 米政府は、中東和平交渉での合意達成を待つべきだという理由により、パレスチナ国家の承認に向けた国連(UN)機関の動きには全て反対している。だが「米国第一」の方針を掲げるドナルド・トランプ(Donald Trump)政権はこれに加え、米国の多国間関係における誓約について再検討しており、同盟関係にある欧州諸国の懸念を呼んでいる。

 イスラエルはユネスコ脱退を表明した声明で、トランプ政権の決定を「勇気があり、道義にかなった」ものだと称賛。イスラエルに対する一連の非難決議を出した国連は「不条理演劇」の様相を呈しているとの批判を展開した。

 ユネスコのイリナ・ボコバ(Irina Bokova)事務局長は米国の脱退を「多国間主義にとっての損失」と表現。アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は報道官を通じ「非常に遺憾だ」と表明した。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT with Dave Clark in Washington and Mike Smith in Jerusalem