■無力感

 ジュクハルさんはAFPに対し、「家族から電話があった。とても困難な状況にあり、食べ物もなく、どうやって生き延びればいいかわからないと言っていた」「後のことは私がなんとかするから、とりあえずバングラデシュに来るよう勧めた」と涙交じりに語った。一家は先週、村を出て沿岸部を目指したのだという。

 ボートに乗ったジュクハルさんの親族は13人いたが、生存が確認されたのは4人だけだった。

「無力感を覚える。きょうだいや義兄、他の家族の遺体が見つかるよう海岸で神に祈ることしかできない。見つかれば少なくとも最後にもう一回彼らの姿を見ることができるから」

 埋葬はわずか30分ほどで終わり、会葬者らは帰路についた。その直後、ジュクハルさんが地面の上に崩れ落ちた。その顔は悲しみにゆがみ、涙が頬をとめどなくつたっていた。急ごしらえの霊柩車も去ったが、その後しばらくの間、ジュクハルさんの泣き声がやむことはなかった。(c)AFP/Alexandre MARCHAND