【10月13日 AFP】外洋上の風力発電施設は、陸上の施設よりもはるかに多くのエネルギーを生み出すとする研究論文が9日、発表された。米研究チームの論文は、世界全体に電力を供給できるほどの発電量が得られる可能性もあるとしている。

 米カーネギー研究所(Carnegie Institution for Science)の研究チームは、外洋上のより大きな風の力を利用することで、洋上の風力タービンは陸上の約5倍の電力を生み出せることが分かったと明らかにした。

 遠洋における洋上風力発電施設については、商業規模のものは現在のところ存在せず、また季節によって発電量も変動するだろうが、この技術については、追求するだけの価値はあると米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載の研究論文は述べている。

 論文によると、「冬季には、北大西洋(North Atlantic)の風力発電施設が、現代文明の電力需要のすべてを満たすのに十分なエネルギーを供給できる可能性がある」という。

 しかしその一方で論文は、「夏季には同じ風力発電施設では、欧州または米国のどちらか一方の電力需要を賄うエネルギー量しか供給できないかもしれない」としている。

 今回の研究は、米中西部カンザス(Kansas)州にある複数の大規模風力発電所と、仮想の巨大な外洋風力発電施設のエネルギーの生産性を比較するコンピューターモデルに基づいている。

 比較の結果、特に北大西洋の一部海域では、風力タービンの存在により生じる抵抗を受けても風は陸上ほど弱まらないため、洋上の風力発電の方がはるかに効率がよいと考えられる。

 論文の共同執筆者、アンナ・ポスナー(Anna Possner)氏は「陸上の風力発電所は地表近くの風力資源に制約されたままであるのに対し、巨大な外洋風力発電施設は大気圏のほぼ全域の風力エネルギーを利用できることが、今回の研究で明らかになった」と述べている。(c)AFP