【10月11日 AFP】2015年に全米で警官によって殺害された1100人以上のうち半数以上を、当局が正確に記録していなかったとする調査結果が10日、発表された。

 全米の死亡証明書データを基に警察関連死の数え落としを初めて計測した研究で、米オンライン医学誌プロス・メディシン(PLOS Medicine)に論文が掲載された。

 論文の主著者で米ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard University T.H. Chan School of Public Health)博士課程に所属するジャスティン・フェルドマン(Justin Feldman)氏は「警察関連死の問題に効果的に対処するためには、誰がどこでどんな状況で殺されているかがより良く分かるデータが公的に入手できなければならない」と述べた。

 今回研究チームは、米国にはすべての警察関連死を確実に把握するシステムが存在しないことを発見した。

 そうしたデータベースでは、米疾病対策センター(CDC)の全米人口動態統計システム(NVSS)のものが唯一公式とされるが、州ごとの死亡証明書に基づいたこのデータベースでは、2015年に発生した警察関連死のうち44.9%しか把握できていなかった。

 英紙ガーディアン(Guardian)が集計を続けているデータは、NVSSのデータベースよりもはるかに正確で、93.1%以上を把握していた。

 今回の研究によると同年、米国で警察に殺害された人の総数は1166人に上る。

 記録漏れが特に目立ったのは、低所得地域で18歳未満の黒人が、実銃ではなくスタンガンで撃たれて殺害された場合だった。同年、警察のスタンガンでは46人が殺害されている。

 データの正確性は地域によって大きくばらつきがあった。論文によると例えば、オレゴン(Oregon)州では警察関連死17件のほぼ全てが把握されていたのに対し、オクラホマ(Oklahoma)州では36件のうち1件も把握できていなかった。(c)AFP