【10月10日 AFP】「北カタルーニャ(Northern Catalonia)」として知られるフランスのピレネーオリアンタル(Pyrenees-Orientales)県の人々は今、国境のすぐ向こう側で起きている危機を不安げに見守っている。

 ピレネー山脈(Pyrenees)と地中海(Mediterranean Sea)に挟まれ、17世紀にフランスに占領されたこの地域に暮らす47万人の住民の多くは、今でも南側のスペイン・カタルーニャ(Catalonia)地方と文化的なつながりを持っている。

「家族がいるから、週末には皆、カタルーニャに出掛ける」と言うのは、政党「ウイ・オ・ペイ・カタラン(OUI au Pays Catalan)」(「カタルーニャ国に賛成」の意)の共同創始者ジャンリュック・ピュジョル(Jean-Luc Pujol)氏だ。同党はピレネーオリアンタルの自治権拡大を目指している。

 スペインのカタルーニャ自治州がスペインで最も裕福な地域だとすれば、北カタルーニャのピレネーオリアンタル県はいまだフランスで最も貧しい地域に含まれている。

 同地域の分離独立派は「ものすごく少数派」だとピュジョル氏は言う。「けれど(同地域では)多くの人が(スペイン側の)カタルーニャに共感を抱き、フランスからの離脱を要求する気持ちはなくても、カタルーニャ人としてのアイデンティティーを守る気構えを持っている」

 カタルーニャ自治州がスペインからの独立の是非を問う住民投票を中央政府に禁じられた中で10月1日に実施するに当たり、ピレネーオリアンタルの一部の住民は積極的な役割さえ果たした。ピュジョル氏の党によると、投票用紙のうち数百万枚は同県の企業数社で印刷され、国境の向こうへ送られたものだ。県庁所在地のペルピニャン(Perpignan)では計2つの集会に約500人ずつが集まり、カタルーニャの住民投票に対する暴力的な取り締まりへの抗議活動も行われた。