【10月10日 AFP】2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)アジア予選プレーオフは、10日にオーストラリアのシドニー(Sidney)で第2戦が行われ、シリアは持ち前の闘志を頼りに「奇跡」を目指す一方で、オーストラリアはホームのファンの後押しを背に突破を狙う。マレーシアで行われた第1戦は1-1の引き分けに終わり、物議を醸すPKを得たシリアが幸運に恵まれたのに対し、オーストラリアにとっては不満の残る結果となった。

 過酷な内戦が続く状況の中、シリアはアイマン・アル・ハキーム(Ayman al-Hakim)監督が注入した鋼の精神を大きな武器に驚くような戦いを披露し、W杯出場へ希望をつないだ。すべてはシドニーのANZスタジアム(ANZ Stadium)での90分で決まり、勝者は北中米カリブ海地区4位のチームとのホームアンドアウェー方式の大陸間プレーオフに進む。

 アル・ハキーム監督は「シドニーでは厳しい試合になるだろうし、(けがや出場停止で)5人の選手を欠くことになるが、われわれは国外でのプレーに慣れている。ファンに言いたいのは、ここまで成し遂げてきたことは単なる快挙などではなく奇跡だということだ。そしてわれわれは、全力を尽くして夢へと向かうこの旅を続けるつもりだ」と語った。

 政治的なものと思われる理由でチームを長く離れ、内戦によって分断されたチームに最近になってようやく復帰したFWのオマル・アル・ソーマ(Omar al-Soma)は、チームは自信を失っていないと主張し、「(第1戦の)ドローはフェアな結果だ。自分たちにとって、第2戦でカギになるのは闘争心と意志、そしてセットプレーだろう」とコメントした。

 紛争に苦しめられてきたシリア国民にとって政治は差し迫った問題で、10日のオーストラリア戦でも、シリア難民の人々や在豪シリア人の指導層は、スタジアムの外でバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権への抗議を行うものとみられる。

 ダマスカス(Damascus)を脱出して2014年にオーストラリアへやってきたある難民は「シリア人にとって、自分たちが耐えてきた6年間の悪夢は、サッカー代表の成功をめぐる『おとぎ話』で覆い隠せるものじゃない」と話している。