【10月10日 AFP】2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)の南米予選がクライマックスを迎え、10日の最終節の結果次第では、リオネル・メッシ(Lionel Messi)とアルゼンチンが不在のW杯という以前なら考えられなかった状況が現実になる可能性がある。

 ホームで迎えた予選初戦でエクアドルに0-2で敗れて以降、アルゼンチンは2年間に及ぶ苦しい戦いを経て、W杯出場を決めきれないままエクアドルとの最終節に臨む。アルゼンチンは現在6位で、本大会に自動的に出場できる4位以内に入れず、プレーオフに回れる5位につけるペルーにも総得点で下回っている状況にある。

 現時点では、勝ち点26で3位につけるチリから同24で7位のパラグアイまでの差はわずか2ポイントしかなく、最終節の結果次第では順位はいかようにも変わり得る。ファンにとって朗報なのは、アルゼンチンの突破の方程式はシンプルで、なんとしても勝ち点3を獲得することが絶対条件だ。

 勝ちさえすれば、アルゼンチンは少なくとも5位以内に入り、格下ニュージーランドとの大陸間プレーオフに進むことができる。とはいえ、標高2850メートルの高地キト(Quito)で勝利するのは容易ではなく、アルゼンチンにとってエクアドルとのアウェーゲームは鬼門で、勝利は2001年までさかのぼり、2005年と2009年は敗戦、2013年は1-1で引き分けている。

 最近のアルゼンチンは、ほかのどの国もがうらやむ攻撃的なタレントの宝庫であるにもかかわらず、どういうわけか決定力不足に苦しむ低調な内容に終始している。それだけに、この試合は彼らにとって、本来の力を見せられるかの正念場となる。

 メッシ以外にもセルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)やゴンサロ・イグアイン(Gonzalo Higuain)、パウロ・ディバラ(Paulo Dybala)、マウロ・イカルディ(Mauro Icardi)、アンヘル・ファビアン・ディ・マリア(Angel Fabian Di Maria)らを招集できる立場にありながら、アルゼンチンは予選17試合で16回しかネットを揺らすことができていない。

 5日のペルー戦も、ホームのブエノスアイレス(Buenos Aires)で均衡を破れず0-0のスコアレスドローに終わり、3試合連続で引き分けた。予選最近4試合で記録した得点数はわずか1得点にとどまっている。ホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督は、悪い流れを打破しようとペルー戦ではダリオ・ベネデット(Dario Benedetto)を先発に抜てきしたが好機を何度も逃し、賭けは失敗に終わった。

 メッシら代表の面々が高地順応に取り組み、息も絶え絶えになる過酷な試練に備える中、母国では無数の同胞が固唾をのんで試合を待っている。国民の不安は、国内紙ラ・ナシオン(La Nacion)の「アルゼンチンは瀬戸際などではない。なんとか崖からぶら下がっている状態だ」というコメントに表れている。

 他会場に目を向けると、チリは敵地でブラジルと対戦。すでに予選首位通過を決めているブラジルを破れば、自力でW杯出場を決めることができる。2位ウルグアイは、すでに敗退の決まっているボリビア相手にホームで引き分け以上で突破が決まる。

「生きるか死ぬか」の度合いが最も強いのは、ペルーの首都リマ(Lima)で行われる5位ペルーと4位コロンビアの一戦だろう。ペルーは1982年のスペイン大会以来の本大会出場を目指し、一方のコロンビアは前節突破まであと一歩のところへ行きながら、終盤に2ゴールを許してパラグアイに1-2の逆転負けを喫した。

 逆にこれで生き残ったパラグアイは、最終節はホームでベネズエラと対戦。勝利すれば、他会場の結果次第でロシア行きを決めることができる。(c)AFP