【10月6日 AFP】カナダと米国の大西洋(Atlantic Ocean)岸に今夏、絶滅危惧種であるタイセイヨウセミクジラが死骸となって相次いで打ち上げられた問題で、研究者らが5日、一部の死骸の解剖結果を発表し、死んだ原因は船との衝突か漁網に絡まったことだったと明らかにした。

 今年6月以降、船舶の通航量が多く漁業も広く行われているカナダの水域でタイセイヨウセミクジラ12頭の死骸が発見され、その後、米東部ニューイングランド(New England)沖でも3頭の死骸が見つかった。

 死骸の解剖を終えたのは6頭のみで、現在7頭目の解剖が進められている。ただ、カナダ野生動物衛生所(Canadian Wildlife Health Cooperative)の研究者らは、残りについても死因は6頭と同様の結果が出るとみている。

 6頭のうち5頭の死因は鈍器外傷とみられるが、1頭は腐敗が進んでいて死因の特定まではできなかった。6頭目は漁網に絡まり、溺れ死んでいた。

 野生生物専門の病理学者、ピエールイブ・ダウ(Pierre-Yves Daoust)氏は記者会見で、これらのクジラの死について「最も重大な原因は人間の活動だった」と指摘した。同氏によると、鈍器外傷を受けたタイセイヨウセミクジラは肝臓や心臓、主要な血管が破裂し、深刻な内出血を起こしていたという。

 タイセイヨウセミクジラの生息数は500頭足らずまで減っているため、今回の死は種の存続に一段の打撃となった。(c)AFP