【10月2日 AFP】スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州で1日実施された独立の是非を問う住民投票で、独立賛成派が勝利を宣言した。投票当日、中央政府が裁判所による違憲判断を根拠に投票の実施を禁じたことから、機動隊が投票所に突入・封鎖する事態が各地で起きた。

 カタルーニャ自治州の有権者は約530万人。同自治州内948市町村の大半が投票所の開設に応じたが、開設を予定していた約2300の投票所のうち、319か所が機動隊に封鎖されたと自治州政府は主張している。

 しかし中央政府は、グリニッジ標準時(GMT)1日午後3時(日本時間2日午前0時)の時点で92の投票所を封鎖したとしており、自治州政府とは異なる数字を発表した。また中央政府と裁判所が投票を違憲と判断したことを受け、当局による投票用紙の没収、住民投票を進めた関係者らの身柄拘束、投票を呼びかけるウェブサイトの閉鎖などが行われた。

 中央政府は住民投票の合法性を認めていないが、自治州側は、賛成多数の場合には、開票後48時間以内に州の独立宣言を行うことをすでに表明している。ただ、実際に独立が宣言されるのかは現時点では分かっていない。

■カタルーニャ自治州について

 地中海(Mediterranean Sea)とピレネー山脈(Pyrenees)に面した人口750万人のカタルーニャ自治州は、ベルギーの国土面積にほぼ匹敵し、スペインの国土面積の6.3%、人口の16%を占めている。

 また独自の議会を持ち、教育、医療、福祉などについても権限が認められている同自治州は、産業と観光業が盛んで、研究施設も多く、欧州連合(EU)で4番目の経済大国であるスペイン経済の5分の1を支えている。しかし近年のスペイン経済の停滞に加え、交付金よりも税の負担が大きいとの不満から、独立の機運は高まっていた。

 カタルーニャ自治州政府は、独立によって経済的な豊かさを確保でき、独自の言語と文化も保護しやすくなると主張する。2014年11月には中央政府の反対を押し切って独立の民意を問う住民投票を強行し、有権者180万人に相当する80%以上が独立に賛成した。ただし、この時の投票率はわずか37%にとどまった。

 また、7月に同自治州政府が実施した最新の世論調査では、41.1%が独立に賛成、49.4%が反対と答えていた。(c)AFP/Michaela CANCELA-KIEFFER