【10月2日 AFP】スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州で1日に行われた独立の是非を問う住民投票で、政府管轄の治安警察が警棒やゴム弾を使って投票場の封鎖を強行し、投票に訪れた多数の有権者らとの衝突に発展した。欧州各国からは、警察の暴力的な対応を批判する声が上がっている。

 中央政府は住民投票を違法とみなし、「茶番」だと一蹴。国家警察の厳しい取り締まりを受けて、カタルーニャ自治州政府によるとこれまでに844人が病院を訪れ、少なくとも92人の負傷が確認された。一方、内務省は警察官33人が治療を要したと発表した。

 ソーシャルメディアに投稿された動画には、警察が投票しようとした人々の髪の毛をつかんで投票所から引きずり出し、階段の下に突き落としたり、投票所を守ろうとした州の消防隊員らを攻撃したりする様子が映っている。

「彼ら(警察)は力ずくで投票箱を奪った。文字通り、私たちの手から奪い取ったんだ」と、バルセロナ(Barcelona)の投票所の1つで責任者を務めていたマルク・カラスコ(Marc Carrasco)氏は証言した。「私たちは(カタルーニャ自治州歌の)『収穫人たち(Els Segadors)』を歌い続け、『民主主義万歳』と叫んだ」

 スペインの国家警察が投票を阻止するため暴力的な行為に出たことに、欧州の政治家などからは非難が上がっている。ベルギーのシャルル・ミシェル(Charles Michel)首相は、「暴力は決して答えにはならない! われわれはあらゆる暴力を非難し、政治的対話を改めて求める」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 元サッカー選手でカタルーニャ自治州の州都を本拠地とするスペイン1部リーグFCバルセロナ(FC Barcelona)でもプレーしたギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏も、「カタルーニャでの光景は実にひどい。胸が悪くなる」とツイートした。

 スペイン国内では1日、左派の複数の政治家がマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相の辞任を要求。また、国内二大労組の労働者総同盟(UGT)と労働者委員会(CCOO)、カタルーニャの独立を目指す政治運動「カタルーニャ国民会議」、その他41組織は、「権利と自由の深刻な侵害」に抗議して自治州全域で3日にゼネストを実施するよう呼び掛けている。(c)AFP/Marianne Barriaux with Daniel Silva in Madrid