■インターネットで美容整形を自慢する芸能人たち

 大学を卒業した若者たちの間では近年、ルックスが良いと、特に娯楽産業ではより有利な就職先を見つけられるという考えが一般的になっていることから、上海華美医療美容医院では特に夏が繁忙期となっている。

 16歳未満の子どもは美容整形手術を受けることができず、16歳と17歳の場合は保護者の同意が必要であるにもかかわらず、10代のうちに手術を受ける割合も増加傾向にある。

 李氏は、「ほとんどの中国人が顔や鼻は細ければ細いほど美しいと考えている」と語る。自撮りするときにもっときれいに写りたいという思いから、欧米人に近付けた顔になりたがる人もいるとして、「美容外科医として言わせてもらえば、そういう顔が美しいとは思えない。少なくとも中国風ではない。だから私はそうした考えを持つ大勢の女性たちの依頼を断っている」と続けた。

 中部河南(Henan)省出身の孫一氷(Sun Yibing)さん(22)は17歳のときに初めて美容整形を受けた。それからさらに12回の手術を受け、今ではちょっとした有名人だ。

 孫さんは容姿と体重を理由に学校でいじめられ、美容整形手術を受けて大きな目、すっと通った鼻、とがった顎のラインを手に入れた。しかし容姿が変わるとともに、美容整形に対する考え方も変化したという。

 孫さんはAFPに対し、「美容整形依存症になってしまい、自分に満足できなくなってしまった。他の人が美容整形することに反対はしないけど、誰かになるのではなく、自分のままでいるべき」と語った。

 孫さんは、中国で美容整形が過熱化した責任はインターネット上で有名になった二流の有名人たちにあると話す。彼らはライブ配信で歌ったり踊ったりするだけではなく、自身が受けた美容整形手術についても自慢することが多いからだ。

 一方で孫さんは、ブームに便乗して目先の利益を得ようと、技術が未熟な悪徳外科医が美容整形業界に増えてくるのではないかと危惧していた。「数年前までは世の中がまだ美容整形に対して保守的だったのに」