【10月1日 AFP】30日に行われたフランス・リーグ1、アミアン(Amiens SC)対リール(Lille OSC)の試合で、アウェーのリールサポーターがゴールを喜んだ際にピッチとスタンドを仕切る柵が倒れ、ファンが落下する事故が起きた。負傷者29人のうち4人は重傷で、試合は中止となった。

 事故は今季から1部に昇格したアミアンと、リールとのフランス北部のライバルチーム同士の一戦で起こった。前半16分に先制点を決めたフォデ・バロ・トゥーレ(Fode Ballo-Toure)らがアウェーサポーターの集まる一画に駆け寄ると、サポーターがスタンドの前方に殺到したことで柵が倒れた。

 この事故で脚と背中を負傷した21歳のリールサポーターは、「突然の出来事だった。誰が得点したかさえ分からず、急に僕の上に人が降りかかってきた。何も見えなかったし、何も聞こえなかったけれど、救急隊員が助け出してくれた」と語っている。

 ファンの中には頭から1メートルほど落下し、後から倒れ込んでくる人たちの下敷きになった人もいた。赤十字と救急スタッフが負傷者の救護に駆けつけると試合は中止となり、仏ソンム(Somme)県は負傷者29名、うち重傷が4名と発表した。郡検事は今回発生した事故について、柵が倒れた理由を中心に調査を始めたと発表し、「現場を立ち入り禁止のテープで封鎖し、数日中にも見分を行う」とコメントしている。

 アミアンのベルナール・ヨアニン(Bernard Joannin)会長は「柵に問題があった」可能性を否定し、「非常に興奮した200人の熱狂的なサポーターが、リールファン用の区画に集まっていると警察から事前に警告があった。彼らはやみくもに前へ殺到して、500人以上が柵にもたれかかった。柵の状態は完璧だった」と話した。

 会場のスタッド・ドゥ・ラ・リコルネ(Stade de la Licorne、ユニコーン・スタジアム)は1999年に建てられ、透明の天井が目を引く近未来的なデザインが採用されているが、今季のリーグ1を戦う20クラブの本拠地では最も小さく、収容人数は1万2000人しかない。クラブは1部リーグの基準に合わせるべく、シーズンを通して750万ユーロ(約1億円)規模の改修作業を行っていて、座席も順次入れ替えられているところだった。

 地元関係者は今年5月、「改修作業で座席が減ることになるが、仮設スタンドを増やして埋め合わせるつもりだ」と話し、これまで地元当局がスタジアムの維持管理をおざなりにしてきた可能性をほのめかした上で、現在は「基準を完璧に満たした、リーグ1の試合会場とするのにふさわしい」スタジアムになっていると話していた。

 その一方で同じ関係者は、2016年の安全点検でスタジアムの天井が「非常に危険」だと指摘されていたことも明かし、「スタンドごとに約2000枚あるガラスをすべて取り外し、ルアーブル(Le Havre AC)やニース(OGC Nice)のスタジアムで使われているような、透明で堅いプラスチックに取り換えた」と語っていた。(c)AFP