【9月29日 AFP】遠い宇宙での12年間に及ぶ冒険を終えるために観測対象だった彗星(すいせい)の表面に衝突した無人探査機「ロゼッタ(Rosetta)」が、衝突間際に撮影した岩だらけの彗星表面の写真を地球に送信していた。地上管制チームが28日、明らかにした。

 欧州宇宙機関(ESA)は2016年9月30日のロゼッタ任務終了からほぼ1年ぶりに、ロゼッタが最後まで送り続けていたデータから再構成された67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)の不鮮明な画像を公開した。

 彗星の1メートル四方の範囲が写っているこの画像は、約20メートルの距離から撮影されたもの。岩がごろごろして塵(ちり)が積もったこの場所が、ロゼッタの永眠の地となったと考えられる。

 ESAは、ロゼッタの搭載カメラを操作していたチームにとって「最後の驚きとなった」とのコメントを発表。テレメトリ信号のパケット数個がサーバー上にあるのを見つけ、さらなる画像かもしれないと期待が膨らんだことを明らかにした。

 画像は6個のデータパケットに分けて送信されていたが、受信されたのはそのうちの3パケットだけだった。地球のミッション科学者らが画像を再構成するのに辛うじて足りるデータ量で、本来のくっきりとしたイメージは得られなかった。

 2004年に打ち上げられたロゼッタは65億キロを旅して2014年3月に67P彗星に到着、実験用着陸機「フィラエ(Philae)」を彗星表面に降下させ、彗星の周回軌道と表面で観測を行ってきた。

 ロゼッタ最後の彗星衝突ミッションは、地球から7億2000万キロの距離で実行された。(c)AFP