【10月2日 東方新報】中国・雲南省(Yunnan)の貧困問題に取り組むため、上海市(Shanghai)のオークション大手、上海国際商品拍売(Shanghai International Commodity Auction)は上海中小企業ブランド促進センターと共同で、雲南省大理ペー族自治州(Dali Bai Autonomous Prefecture)漾濞イ族自治県(Yangbi Bi Autonomous County)のクルミ産業発展による貧困支援事業に乗り出した。企業の社会的責任として、事業を進める。

 上海国際商品拍売、上海中小企業ブランド促進センター、大理ペー族自治州漾濞イ族自治県政府は共同で、9月26、27の両日に「クルミの郷を貧困から救うチャリティーオークション」を開催した。チャリティーオークションの主旨は、同県の「クルミブランド」の知名度を上げることによって農家の収入向上を図ることが目的だ。

 漾濞イ族自治県は総面積は1860平方キロメートル、地域の森林率は80%以上。白族、回族、漢族など17の民族が暮らしており、総人口は10万余りといわれている。古くからクルミの産地として知られ、1995年には国務院発展研究センターより「中国・クルミの郷」の称号も授与されている。

 同県のクルミの植栽面積は6万ヘクタール以上で、年間生産量は約5万トン、生産額は10億元(約1100億円)を超える。全国で5148万ヘクタールあるとされるクルミの植栽面積のうち、種苗の50%が同県から出荷されている。現地農家約2万3000世帯のうち、89.5%がクルミ栽培農家だ。その一方で、全国でも「貧困地域」という不名誉なレッテルを返上できずにおり、クルミの恵みを貧困削減につなげられずにいる。

  今回のチャリティーオークションに出品されたのは、漾濞イ族自治県の光明村(Guangming)にある22本の古いクルミの木から収穫される2年分のクルミを得られる権利。クルミの木は、古いものでは樹齢600年といい、最低でも樹齢130年に上る。オークションによる収益は、光明村のクルミ農家の農業支援にあてる。

 チャリティーオークションはインターネット上と、一部は専用オークション会場で開催された。22本のクルミの木はすべて落札され、樹齢600年クルミの木は特に人気を集め、2万1160元(約35万7400円)の開始価格だったのが、落札時には10万100元(約169万円)になっていた。

 オークションの主催者などは今後、現地を視察するなどして、貧困解消を目指した投資環境の整備について検討を進める。今回の落札者も視察団に参加でき、実際に現地のクルミの栽培状況を見学することができ、クルミ産業の発展過程を学ぶことができる。このほか、上海市商務委員会は、現地のクルミビジネスが上海の商業小売領域に参入するための研究を進め、現地の産業振興による農家の収入増を図る。(c)東方新報/AFPBB News