【9月28日 AFP】39億5000万年前の地球上に原始的な生命体が存在していた可能性を示す最古の痕跡を発見したとの研究成果を27日、東京大学(University of Tokyo)の研究者らが発表した。約45億年前に誕生した地球はその時代、複数の彗星(すいせい)が衝突し、酸素はほとんどなかったとされる。

 これまで最古の生命体の痕跡とされていたのは、今年3月に報告された、カナダ・ケベック(Quebec)州で発見された推定38~43億年前の痕跡化石だった。しかし、東京大学の研究者らは、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された最新論文で、この年代測定過程については「極めて異論が多い」と形容。カナダ・ラブラドル(Labrador)にある太古の堆積岩の中から同研究チームが発見した炭素から成るグラファイトの微粒子こそが地球上の生命体について知られている中で最古の痕跡となる化石だと主張している。

 東京大学の小宮剛(Tsuyoshi Komiya)准教授は、AFPによる電子メールでの取材に対し、「これが最古の痕跡だ」とし、「私たちが採取したサンプルもまた、地球上に保存されている最古の表成岩だ」と述べた。

 初期生命体の痕跡化石は極めて珍しく、その時代から残っている岩石は保存状態が悪い場合が多い。

 小宮氏と研究チームは今回の最新研究で、ラブラドル地域にあるサグレック岩体(Saglek Block)の岩石に含まれていたグラファイトを分析した。グラファイトは炭素の一種で、鉛筆の芯などに使われている。炭素の同位体組成を測定した同研究チームは、このグラファイトは「生体炭素」だと結論付けた。これは、生命体が生成した炭素であることを意味する。

 ただし、この生命体の正体や、どのような姿をしていたかについては謎のままだ。

 小宮氏は研究の次段階について、「生命体の種類を特定するために、この有機物の窒素、硫黄、鉄や付随する無機物などの他の同位体を分析する予定」であることを明らかにした。また、岩石自体の化学組成を分析することで、生命体が生息していた「環境について推測することが可能」としている。(c)AFP