【9月27日 AFP】物干しの洗濯物が乾いたり雲に雨水が供給されたりする過程で起こる「蒸発」に膨大なクリーンエネルギーを生み出す可能性があると示唆する研究結果が26日、発表された。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された研究論文によると、この自然現象である蒸発を利用すれば、米国内の既存の湖や貯水池の水面上で最大325ギガワットの電力を発電できるという。この電力は2015年の米国の発電量の約70%に相当する。

 唯一の問題点は、このエネルギーを採取するための技術がまだ存在しないことだ。

 論文の共同執筆者で、米コロンビア大学(Columbia University)のオズギュル・サヒン(Ozgur Sahin)氏は、AFPの取材に「このエネルギーを採取するには、空気と水の境界面に設置する装置が必要になると考えられる」と語る。

「湖や池などから出てくる水蒸気は、大気に到達する前に最初にこの装置に入る(必要がある)」と説明し、まずこの技術を開発しなければならないとした。

 サヒン氏とチームによる今回の研究は、水が気体(水蒸気)に変わるプロセスである蒸発の潜在的なエネルギー生成能力のモデルに基づくものだ。

 研究チームは、湿度、風速、気温などが蒸発速度に及ぼす影響を調べるとともに、蒸発によって生成されるエネルギーを採取する装置を利用できるものと仮定した。

 その上で、米国内にある面積10万平方メートルを上回る水塊からの潜在蒸発量を算出した。五大湖は対象から除外された。