【9月26日 AFP】米国オリンピック委員会(USOC)のスコット・ブラックマン(Scott Blackmun)最高経営責任者(CEO)は25日、来年2月に開催される平昌冬季五輪に米国が参加することを明言し、安全と警備への備えについても自信をみせた。

 2002年ソルトレークシティー冬季五輪の開催地で行われた大会前のイベントで、USOCのブラックマンCEOは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長による緊迫した舌戦によって、米国が平昌五輪への出場を取りやめることはないと強調した。

 アスリート個人から警備と安全に関する問い合わせがあると予想しているものの、現時点では「一つも」受け取っていないと明かしたブラックマンCEOは、「USOCは参加する。五輪はほかの大会と何ら変わりはない。われわれは警察と連携を図っており、国務省とも定期的に連絡を取っている。不測の事態が起こるとすれば、それは国家間の対立であってUSOCには関係ない。国際オリンピック委員会(IOC)と政府の問題だ」と語った。

 来年2月9日から25日まで冬季五輪が開催される韓国・平昌(Pyeongchang)は、北朝鮮との軍事境界線から80キロメートルしか離れておらず、フランスとオーストリアの政府は先日、米朝間の対立による安全保障をめぐり、選手団の派遣を見送る可能性を示唆していた。

「現地の状況や考えられるリスクを見極める必要がある」としたブラックマンCEOは、「率直なところ、平昌から受け取った報告書によれば、犯罪などの問題は特に心配ない。準備は順調に進んでいると確信している」と述べている。

 ブラックマンCEOは米国務省との話し合いからも、韓国の安全保障に対して信頼を寄せており、「国務省とも定期的に話しており、在韓米国人と同じ情報を入手している。何か変化があれば真っ先に連絡を受けると確信しているが、特に変化の兆しはない」と明かした。

 USOCにとってもう一つの懸念材料は、ロシアが平昌五輪に参加できるかどうかの問題となっている。世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査官リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が2016年に発表した報告書により、2014年のソチ冬季五輪をピークに2011年から15年にかけて国家主導のドーピングが行われていたと指摘された同国の陸上選手は、昨年のリオデジャネイロ五輪の出場を禁止された。

 WADAは今週、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)に職員を派遣して、世界ドーピング防止規程(WADA Code)が順守されているか確認することになっているほか、同国に対してマクラーレン報告書の内容を公式に認めることを求めている。

 一部ではロシアの五輪出場を禁止する声が上がっているものの、ブラックマンCEOはロシアによる2件のドーピング問題に関して、年末までにはまとまるとみられるIOCの調査結果を待つとしており、「解明に長い時間がかかり、調査の行方をとても心配している。結論を先走るのは少し尚早だ。報告書の概要通りならば、結果が伴うことになるのは明らかだ」と述べた。(c)AFP/Jim SLATER