【9月22日 AFP】東アフリカのタンザニアで、体がつながった双子の姉妹(20)が大学に入学する。障害者は社会の隅に追いやられたり、生まれた直後に捨てられたりするのが一般的な同国で初の例となる。二人は教育学を学んで教員になる夢をかなえたいと、大学生活への期待に胸を膨らませている。

 腹部が結合した双生児として生まれたマリア・ムワキクティ(Maria Mwakikuti)さんとコンソラータ(Consolata Mwakikuti)さん姉妹は、タンザニアでちょっとした有名人になっている。姉妹の高校時代から今月の大学到着までの軌跡を、メディアが密着取材をして追ってきたからだ。

 マリアさんとコンソラータさんが進学するのは、タンザニア中央部イリンガ(Iringa)にあるルアハカトリック大学(Ruaha Catholic University)。同大の広報担当者ワザラウ・マトラ(Mwazarau Mathola)氏によると、大学の授業が始まるのは10月からだが、二人は一足早く新しい生活に慣れ、コンピューターの指導を受けるため、数週間前に現地に移ってきた。

「彼女たちは通常の学生寮には入れないので、個別の住居が提供されています。家具なども二人のニーズに合わせて用意しています」とマトラ氏。マリアさんとコンソラータさんの教室には二人が快適に座れるように長椅子が置かれ、世話係も1人つくという。

 マリアさんとコンソラータさんは父親の死後、母親に捨てられ、後にカトリックの宣教団に引き取られた。マトラ氏によると、二人は大学で教育学を学ぶ計画で、歴史と英語、スワヒリ語の教員になることを志望しているという。

 マリアさんは7月、国営テレビで全国の父母に対して「障害のある子どもを隠したり、閉じ込めたりしないでください」と訴えかけた。「障害があろうがなかろうが、人間は平等であり、同じ権利を持っていると知らなくてはいけません」

 マリアさんとコンソラータさんは、高校生活を支援してくれた教員たちや、毎日、家から学校まで車を提供してくれた政府に感謝している。

 姉妹のうちよくしゃべる方のコンソラータさんは「この日が来るなんて予想もしていませんでした。私たちがきょう、ここにいるのも神の恵みです」と顔をほころばせた。

 編み物や料理を一緒に楽しむマリアさんとコンソラータさんだが、地元紙の2015年のインタビューでコンソラータさんは、いつも仲が良いわけではないと明かしている。「例えば、私が洗濯したいときに、マリアは読書がしたかったりするんです。でも、いつも何とかしています」 (c)AFP