■世界最高品質とされたバーボンバニラの質も低下

 バニラ農家と貿易商の中間業者は、「はっきり言ってこの仕事で成功を収めることなんて不可能だ。皆がだまし合っている。そしてそれを率先して行っているのが大規模な輸出業者だ」と話す。

 マダガスカルのバーボンバニラは、何世代にもわたり受け継がれてきた栽培技術の産物であり、世界最高品質とされる。しかし、バニラの質が低下しているという懸念は、輸入業者がマダガスカル産バニラを避け、購入先を同国のライバル国であるインドネシアやウガンダなどに変更する事態を招きかねない。

 マダガスカルのバニラ輸出業者協会の会長は、「すべての物事には終わりがあり、(バニラの)価格が下落するのはほぼ確実」と指摘。

「バニラのおかげで私は学校に通うことができた。バニラは価値ある1次産品だ。価格が下落すれば日和見主義者は去っていくだろうが、私たちはこれからもずっとここ(マダガスカル)に残る」と、輸出業者の一人は語った。

「私たち古参の人間は、自分と子どもたちの将来をバニラで築き上げてきた。しかし今の私たちは、ばらばらに引き裂かれていく過程の真っただ中にいる」(c)AFP/Gaelle BORGIA