【9月20日 AFP】英政府は19日、ミャンマーでイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が暴力を受けている問題を理由に、ミャンマー軍に対して行ってきた訓練などの支援を停止したと発表した。ロヒンギャへの人権侵害に「深い憂慮」を示している。

 テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は米ニューヨーク(New York)で英スカイニューズ(Sky News)の取材に答え、「ミャンマー軍がロヒンギャの人々に対して取っている行動を止めなければならない」と強調。「この問題の解決策が示されるまで、英国防省はミャンマー軍に対する防衛協力や訓練を行わない」と述べた。

 英政府の報道官は声明で「ビルマ(ミャンマー)のラカイン(Rakhine)州でロヒンギャへの暴力が続き、それによる人道危機も拡大している状況や、(ロヒンギャへの)人権侵害に対するわれわれの深い憂慮から」、訓練の提供停止を決めたと説明した。

 マーク・フィールド(Mark Field)英閣外相は先に議会で、英軍がミャンマー軍に、言語教育や統治、説明責任、倫理、人権、国際法を中心とした職業訓練を行ってきたことを説明し、「彼ら(ミャンマー軍)を孤立させるよりも、民主政の下で現代の軍がどう活動するかを直接経験してもらう方が効果的だ」との認識を示していた。戦闘訓練は行っていないという。

 しかし英議員約150人は6日、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)外相にミャンマー軍への訓練プログラムの中止を求める書面を送っていた。

 英国に拠点を置くミャンマー系人権団体「ビルマ・キャンペーンUK(Burma Campaign UK)」のマーク・ファーマナー(Mark Farmaner)氏は、ミャンマー軍に対する訓練を「破滅的なほど誤った判断」と批判。「政策の大幅な見直しが今すぐ必要で、人権を最優先にする方針に戻らなければならない」と述べている。(c)AFP