【9月19日 時事通信社】ミャンマーの隣国バングラデシュでロヒンギャ難民の支援に当たった国連児童基金(ユニセフ)の職員が19日までに時事通信の電話取材に応じ、「過酷な経験をした子供が多く、無事にバングラに着いても笑うことすらできない状態だ」と訴えた。

 この職員は子供保護専門官の鈴木惠理さん(40)=埼玉県出身=。7日からバングラ南東部コックスバザールに入り、難民の子供の精神的なケアなどに当たった。

 ミャンマー治安部隊とロヒンギャ武装組織との戦闘が始まった8月25日以降、バングラに逃れたロヒンギャ難民は18日までに41万人を超えた。鈴木さんは「先に女性や子供を逃がしたり、父親が行方不明になったりしたケースが多いのか、難民には(大人の)男性が少ない。難民のうち6割が子供だ」と説明する。

 難民たちは1週間前後も歩き続けてミャンマーを脱出。途中で親とはぐれた子供は「把握しきれないほど」いるという。鈴木さんは「子供は笑ったり遊んだりが仕事のようなものだが、それすらできない状態になっている。家族も、到着直後は言葉も出ない」と窮状を語った。

 バングラに到着しても、道端で熱帯の日差しや雨期の豪雨を遮ることもできずに過ごす子供が多い。避難所は「歩く道もないほど」混雑。密集した空間では、女性や子供の身の安全確保が難しく、「大人、子供を問わず、15日までに約400件の性暴力が発生した」という。

 ユニセフなどの国際支援団体はもともと、ロヒンギャ難民の支援を行っていた。だが、1~8日の間に新たに22万人以上がバングラに到着。「準備を大きく超える状態」となり、支援が追いついていない。

 このため、普段はインド、バングラ、アフガニスタンなどの子供の保護を担当する鈴木さんも応援に駆けつけた。鈴木さんは「現状でも援助をいただければありがたいが、1年後には解決しているというような問題ではない。息長く支援していただけたら」と継続的支援を呼び掛けている。(c)時事通信社