【9月19日 AFP】タイ王国軍が1000万ドル(約11億円)で購入した飛行船が、およそ8年間ほとんど飛行することなく退役することが明らかとなり、タイ国民から非難が巻き起こっている。

 タイの国防費はここ10年で3倍に膨らんでおり、この間に軍事政権が2度権力を握っている。また10億ドル(約1100億円)が投じられた中国製潜水艦をはじめ、多額の軍事支出には経済状況に危機を感じているタイ国民から批判の声が上がっている。

 怒りの矛先となっている飛行船「エアロス40D(Aeros 40D、通称スカイドラゴン)」は2009年、タイ南部で発生した暴動の監視を目的に購入された。しかし、全長46.6メートルにもなるこの飛行船は購入後8年間ほとんど空を飛ぶことはなく、故障だらけで燃料のヘリウムを補充するのに費用がかかっていただけだったという。

 また地元メディアによると、2012年には同飛行船による警戒中に操縦士がコントロールを失い、田んぼに不時着する事故も起こしていたという。

 エアロス40Dの退役が先週明らかとなったことから、タイの会計当局に対し、飛行船の購入理由、および政府や軍高官の調査を求める声も上がっている。(c)AFP