【9月17日 AFP】シリアでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討作戦を行っている米軍主導の有志連合は16日、同日未明に東部デリゾール(Deir Ezzor)市近郊で米国が支援しているクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」がロシア軍の空爆を受け、数人が負傷したと主張した。ロシア政府はこれを否定している。

 異例とも言える今回の空爆を最初に報告したSDFは、16日午前3時半(日本時間同9時半)ごろ、ロシア軍とシリア政府軍がユーフラテス川(Euphrates River)の東岸から約7キロ離れたデリゾール市の北東の工業地帯を空爆し、SDFの戦闘員6人が負傷したと述べた。ロシア軍から攻撃を受けたのは、混迷が深まる紛争で初めてだとしている。

 有志連合は「ロシア軍が、すでに知っていた地点を攻撃し、SDFと有志連合顧問の封じ込めを図った」と発表し、有志連合側にけが人は出なかったと付け加えた。一方、ロシア軍のスポークスマンは、SDFを標的にしていたことを否定した。

 有志連合が支援しているSDFと、ロシアが支援しているシリア政府軍はいずれもデリゾール県でIS掃討作戦を並行して実施しているが、作戦は別々に行っている。シリア政府軍が県都デリゾール市に攻勢をかける一方、SDFはユーフラテス川の東でISと交戦している。

 シリアで紛争が6年続いている中、同国上空では、空爆を行う有志連合とシリア政府軍、ロシア軍の戦闘機の飛行が増えてきている。戦闘機同士の戦闘はまれだが、6月にはシリア北部のSDF部隊を空爆したとの理由で、米軍機がシリア政府軍機を撃墜した。(c)AFP/Rana Moussaoui