【9月16日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するマクラーレン(McLaren)は15日、今季限りでホンダ(Honda)と手を切り、来季からルノー(Renault)のエンジン供給を受けると発表した。F1界のトップに返り咲くことを目指していた同チームは、日本のエンジンメーカーとのトラブル続きの関係に終止符を打つことになった。

 マクラーレンが2018年から2020年までの3年契約でルノーと手を結むことになった一方で、トロ・ロッソ(Toro Rosso)はルノーとの提携を解消し、ホンダエンジンを使用することが明らかになった。これまで大きく報道されてきたこれらの動きに関連し、現在メルセデスAMG(Mercedes AMG)とフェラーリ(Ferrari)の独壇場となっているF1の序列は、劇的に変化する可能性がある。

 ホンダがマクラーレンから離脱した背景には、世界王者のタイトルを通算2度獲得しているフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)が来季もチームに残留する条件として、不発のホンダエンジンを排除することを繰り返し求めていたことが挙げられる。

 マクラーレンのザック・ブラウン(Zak Brown)エグゼクティブディレクターは、「きょうの発表により、何のためらいもなく、2018年のシャシーと技術プログラムを前進させるために必要な信頼性がもたらされる」と述べた。

 英名門チームのマクラーレンは、2012年シーズンを最後に優勝から遠ざかっており、メルセデスをはじめ、フェラーリやレッドブル(Red Bull)に対抗する強さからはかけ離れた状態が続いている。

 第13戦イタリアGP(Italian Grand Prix 2017)では、ホンダとのパートナーシップに対するいら立ちが頂点に達し、アロンソとストフェル・バンドーン(Stoffel Vandoorne)の両ドライバーがグリッドの降格処分を受けた上に完走を果たすことができず、後者は新しいエンジンに交換してもパワー不足に悩まされた。

 ホンダはコンストラクター及びエンジン供給元として1964年からF1に参戦してきたが、ハイブリッド式のパワーユニットを使用する現在のエンジン規定では低迷が続いていた。

■悲惨な状況

 一方、2018年限りでパートナーシップを解消すると報じられているルノーとレッドブルからの発表はなかった。2013年までの4シーズンにわたりドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権を制してきた両社だが、2014年に複雑なハイブリッド技術が導入されて以降は対立が続いている。

 ホンダのコンストラクターズ選手権での成績は、1967年と2006年の4位が最高となっているものの、アラン・プロスト(Alain Prost)氏や故アイルトン・セナ(Ayrton Senna)氏がF1界を席巻した1980年代後半から90年代前半にかけては、マクラーレンやウィリアムズ(Williams)にエンジンを供給し、数々のタイトル獲得に貢献してきた。

 日本の自動車メーカー大手であるホンダは、世界的不況に対抗するためのコスト削減で2008年にF1から撤退すことになり、チーム運営はロス・ブラウン(Ross Brawn)氏に引き継がれることになった。

 2015年には再びマクラーレンとタッグを組んだホンダだが、ドライバーの最高順位は6位止まりという悲惨な状況が続いており、その名声に深刻な打撃を受けている。今度はレッドブルのジュニアチームであるトロ・ロッソと手を組み、その命運を託すことになったが、理想の状況からは程遠い状況となっている。

 トロ・ロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キー(James Key)氏は、「厳しい状況に立たされている時期ではあるが、トロ・ロッソは過去にも多くの難題に直面して柔軟に対処してきた」と述べた。(c)AFP/Talek HARRIS