【9月16日 AFP】野球で相手チームのサインを盗む行為は、少なくとも100年前にさかのぼって繰り返されてきたことだが、米大リーグ機構(MLB)は15日、最新の電子機器を使用して対戦相手のサインを読み取ってはならないことを明確に示した。

 ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)が先月、レッドソックスへの疑惑を申し立てて調査に発展していた問題で、MLBは同日、相手捕手のサインを盗み解読する目的で「ビデオルームからダッグアウトにいるアスレチックトレーナーに電子情報を送信した」として、ボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)に罰金処分を科した。具体的な金額については明らかにされていない。

 MLBのロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーは声明で、投手に球種を指示する捕手の指の動きを解読することを禁止する規定はないとした上で、球種を知っておくことは打者にとって大きなアドバンテージになるものの、その点で優位に立ちたければ昔ながらの方法に追随しなければならないとくぎを刺した。

「まず重要なことは、相手捕手のサインを見破ろうとすることは、MLBの規則や規定に違反するものではないと理解しておくことである。しかしながら、MLB規定では試合中に電子機器を使用することは禁じられており、チームを有利にするためにサインを盗んだり情報を伝達したりする目的で、そのような装備を利用してはならないと記されている」

 マンフレッドコミッショナーはまた、全30球団に対して今後こうした違反行為があった場合は、ドラフト指名権や勝利試合の没収など、さらに厳しいペナルティーを科すことになると通告した。

 一方、ヤンキースが球団所有のテレビ局「YESネットワーク(YES Network)」のカメラを利用してスパイしていたとレッドソックスが逆に訴えていた疑惑について、MLBは調査の結果、「証拠不十分」との結論を出した。

 しかしながら、ヤンキースが過去にダッグアウトの電話を不適切に使用していた証拠が見つかったとして、同球団にも罰金処分が下された。両球団に科された罰金については、ハリケーンの被害に遭った米フロリダ(Florida)州の救済活動に寄付されることになっている。(c)AFP