【9月15日 AFP】世界では5歳未満の乳幼児が死亡するケースが減少し、より多くが長生きするようになっているが、昨年の世界の死者5人に1人は、栄養や不健康な食事に関連する問題で死亡していたことが分かった。「世界の疾病負担(GDB)」に関する研究論文6件が15日、英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された。

 研究論文によると、2016年の死者約75%は非感染性疾患が原因で死亡した。血流に問題が生じる心臓病で亡くなった人の数が最も多く、950万人に上った。10年前と比較すると20%増となった。もう一つの「生活習慣病」である糖尿病の死者数は同30%以上の増加を示し140万人となった。健康に関する世界的な調査は、米ワシントン大学(University of Washington)保健指標評価研究所(IHME)が主導し、専門家2500人が関わった。

 2016年、がんの死者数は900万人近くに上った。そのうちで最も多かったのは肺がんだった。がん死は2006年よりも17%増えている。 また2016年にたばこが原因で死亡した人は710万人とされた。

 研究論文は、2016年に死亡した人の5人に1人は、栄養不良と不健康な食生活に関連していたと指摘している。後者は主に富裕国での問題だ。研究者らは「栄養不良のあらゆる形態のうち、貧しい食生活、とりわけ健康的な食べ物の摂取が少ないことが、死亡率の主な危険因子となっている」と説明している。

 論文の基となったIHMEの調査によると、世界では2016年、7人の1人が精神衛生または薬物使用の問題に直面していたという。これは世界人口のうちの11億人にあたる。

 他方でアルツハイマーやパーキンソン病を患う人は同年、260万人に達した。10年間で40%以上増加したかたちだ。

 アルコールと薬物使用による死亡件数は32万件。うちオピオイドの使用による死が8万6000件に上った。オピオイドの大半は処方薬で、その乱用が米国でまん延している。

 2016年に死亡した人の数は約5500万人で、一方の出生数は1億2900万人だった。単純計算では地球人口が7400万人増えたかたちだ。

 昨年の世界平均寿命は、女性が75.3歳、男性は70歳近くだった。日本人の平均寿命は昨年男女とも80歳を超えた。(c)AFP/Marlowe HOOD