【10月15日 AFP】おりの中に入れられた狼男がうなり声を上げ、魔法使いが呪文を唱えて必死に鎮めようとしている。だが心配には及ばない。ここはブラジルの魔法学校。毎日のようにこんな光景が繰り広げられているのだ。

 この狼男も実は俳優。生徒たちの唱える呪文は、おそらく本物の狼男には効かないだろう。とはいえ、サンパウロ(Sao Paulo)から約200キロ離れたカンポス・ド・ジョルドン(Campos do Jordao)にある魔法学校の生徒たちは、入学前に魔法に対するそんな不信感はぬぐい去らなくてはいけない。

 館を会場に開講されているこの学校は、英作家J・K・ローリング(J.K. Rowling)氏の「ハリー・ポッター( Harry Potter)」シリーズに登場する魔法学校「ホグワーツ」に触発されて、2015年に設立された。

 授業は4日間で、生徒たちはみなハリー・ポッターの大ファンだという。

 ただ学校側は、カリキュラムは独自だと胸を張る。設立で中心的な役割を果たし、魔法使いの先生を務めるヴァネッサ・ゴドイ(Vanessa Godoy)さん(27)は、「ホグワーツを丸ごとコピーしたものではありません」と話す。

 ハリー・ポッターの著作権による制約もあるため、学校では魔法のような独創性を発揮し、地元ブラジルに伝わる民話などを授業の題材に取り入れている。

「私たちの国には伝説や神話がたくさん残っています。ブラジルは魔法であふれているんです」とゴドイさん。

 学校では、ホグワーツと同じく魔法薬や魔法史などの授業も提供。ダンスなどのコンテストはもちろん、ハリー・ポッターでおなじみの、ほうきに乗ってプレーする球技「クィディッチ」を模したトーナメントも催している。

 一方、ブラジルでしか学べないものも用意している。例えば、先住民に語り継がれる神話に登場する森と秤の守り神の毛を使って、魔法のつえを使えるようにすることなどだ。

 もっとも授業料は安くない。普段はホテルとして使用されている館を会場としたコースの参加費は、4日間で800ドル(約9万円)以上となっている。(c)AFP/Daniele BELMIRO