【9月13日 AFP】イタリア人テノール歌手、アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)の歌声が劇場の天井高くまで響いた。だが、人々の目はボチェッリではなく、その隣の指揮者にくぎ付けだった──ロボットの指揮者だ。

 コンサートは12日、トスカーナ(Tuscany)州ピサ(Pisa)のベルディ劇場(Teatro Verdi)で、第1回国際ロボット工学フェスティバル(International Festival of Robotics)のグランド・フィナーレとして行われた。2本の機械の「腕」が生演奏を指揮する世界初のコンサートとなった。

 指揮を務めたのは、スイスのロボット工学企業ABBが設計したロボット「YuMi」。ただ、YuMiは決められた曲を指揮することはできるが、即興や、演奏家たちに反応したり相互にやりとりすることはできない。

「教え込むのは非常に難しかった」と、YuMiと共演したルッカ・フィルハーモニー交響楽団(Lucca Philharmonic Orchestra)の指揮者、アンドレア・コロンビニ(Andrea Colombini)氏は話す。

 YuMiはコロンビニ氏の手の動きをまねるよう訓練されたが、6分間の曲を演奏するために17時間の特訓が必要だったという。コロンビニ氏は「長い時間がかかった」とその苦労を明かしている。(c)AFP/Ella IDE