【9月12日 AFP】様々な宗教の神たちがテーブルを囲んで羊肉を食べるという設定のオーストラリアのテレビCMに、ヒンズー教の神ガネーシャ(Ganesh)が含まれていたことから、インド政府がオーストラリア政府に正式に抗議する事態となっている。

 インド政府が問題視しているのはオーストラリアの食肉生産者団体「MLA」が制作したCM。ガネーシャ、イエス・キリスト(Jesus Christ)、ブッダ(仏陀)から新興宗教サイエントロジー(Scientology)教会の創設者L.ロン・ハバート(L. Ron Hubbard)まで新旧の宗教にまつわる神々や人物がテーブルを囲んで祝杯を挙げ、羊肉料理を味わうというものだ。

 象の鼻を持つガネーシャは菜食と信じられていることから、CMはオーストラリアで暮らすインド人コミュニティーの怒りを買った。

 在キャンベラ(Canberra)のインド高等弁務官事務所(大使館に相当)は、オーストラリア政府に抗議を申し入れたことを明らかにした。9日に発表した声明は「ガネーシャ神が他の宗教の神々と共に『羊肉をたたえて乾杯』するなど、インド人コミュニティーにとっては冒涜(ぼうとく)であり彼らの信仰心を傷つけるものだ」としている。

 在シドニー(Sydney)のインド領事館もCMを中止するようMLAに求めたという。

 これに対しMLA側は、CMの目的は融和の促進にありヒンズー教徒らの感情を害する意図はなかったとしたうえで、CM制作にあたっては広範囲な調査を行い、専門家に助言を仰いだと説明している。(c)AFP