【9月12日 AFP】シリアでは米主導の有志連合の支援などでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討作戦が進んでいるが、米国の対テロ専門家らは11日、その陰で国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」が再び勢力を拡大していると警告した。

 先月シリア北西部イドリブ(Idlib)を掌握したイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「ハヤート・タハリール・シャーム(HTS)」は、自らをISよりも「穏健」な組織と位置づけて、従来のアルカイダのイメージ刷新を図り復活をもくろんでいるという。

 米政府の対テロ政策担当だったジョシュア・ゲルツァー(Joshua Geltzer)氏は、米シンクタンク「ニュー・アメリカ(New America)」で行われた講演で、「当面はISIS(ISの別称)がテロの脅威として突出しているが、シリアにおけるアルカイダの存在も憂慮される」と警鐘を鳴らし、HTSについて「現時点で最大のアルカイダ系国際過激派組織だ」と指摘した。

 米国を標的としたテロ脅威の現状をテーマに行われた今回の講演で、ゲルツァーをはじめとする専門家らは、ISがシリアとイラクで劣勢となる中、数あるイスラム過激派組織からHTSが台頭してくるとの見方を示した。

 出席者の一人、デイビード・ガーテンスタインロス(Daveed Gartenstein-Ross)氏によると、アルカイダはISの台頭によって弱体化した2010年当時より「かなり力を増している」という。「アルカイダは巧妙にISISから距離を置いて『穏健な聖戦士集団』というイメージをつくりあげ、好きにはなれなくても交渉はできる相手になった」と指摘している。

 こうしたやり方でアルカイダは支持を広げ、その中には一部の湾岸諸国も含まれている。(c)AFP