【9月12日 CNS】3隻の廃漁船を再生した「海上書房(図書室)」が海南省(Hainan)三亜市(Sanya)西島(Xidao)漁村のふ頭に登場し、島民の憩いの場となっている。

 5日の夕方、海上書房で考古学の本をめくっていた地元の漁師、陳木虎(Chen Muhu)さん(78)は、「この漁村に図書室ができてとてもうれしい」と話した。

 海上書房の発起人の秦加一(Qin Jiayi)さんは、「海上書房は、島で初めての公共図書館として大活躍しています。よりすぐりの児童書やニュース、文芸などの書籍を2000冊そろえており、4000冊まで増やす予定です」と話す。西島は、三亜市の有名な観光地の一つでもあり、海上書房は観光客が海南独特の地域文化を体験できるスポットともなりそうだ。

 西島は約400年の歴史がある。島の面積は2.86平方キロメートル。ほんの小さな一漁村だったのが、今では4000人以上が生活する島になった。島民は漁業をなりわいとして船で生活しており、漁村ならではの風情が漂う。また、サンゴ石で建てられた老家屋や漁業文化などの有形・無形の文化や、漁業工具の変遷など豊富で多彩な歴史がある。西島社区の黎慶学(Li Qingxue)書記兼主任は、「海上書房は島民の文化的需要を満たしてくれると共に、国内外からの観光客が西島文化に興味を持ってくれるきっかけになる。西島特有の文化を保護・活用し、歴史文化産業を後世に残していく政策を打ち出している中で、書房は島の地域活動センターとしても利用でき、島民の素養の向上も期待できる」と話した。

 島に24隻あった廃漁船のうち3隻が海上書房となり、残る21隻は伝統的な疍家(Danjia)文化(水上生活をする人々の文化)の展示スペースに改造される。(c)CNS/JCM/AFPBB News