【9月9日 AFP】南米アマゾン(Amazon)の熱帯雨林で外界から孤立して暮らす先住民10人以上が違法採金業者に殺害された恐れがあるとして、ブラジル検察当局が捜査を進めていることが分かった。現地NGOが8日、明らかにした。

 先住民族の権利保障を訴える国際組織「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」によると事件が起きたのは8月で、現場はブラジル西部のジャンディアチューバ川(Jandiatuba River)沿い。採金業者らが先住民を殺害したことを自慢げに語っていたことから明らかになったという。これまでに2人の採金業者が逮捕されている。

 ペルー国境に面した先住民の土地バーレドジャバリ(Vale do Javari)に居住するワリカマ・ジャパル族の長、アデルソン・コラ・カナマリ(Adelson Kora Kanamari)氏はニュースサイト「アマゾニア・リアル(Amazonia Real)」の取材に対し、18~21人が「襲撃され殺害された」と述べた。また現地は「非常に危機的な状況」にあると訴え、「地主や猟師、採掘業者らが侵入して来る。多く(の先住民)が孤立した状態で殺されており、殺害された正確な日付や人数は把握していない」と話した。

 サバイバル・インターナショナルは「話が事実であることが立証された場合、この虐殺に対する大きな責任はミシェル・テメル(Michel Temer)政権にある」と主張し「すべての先住民に対してずっと前の段階で、彼らの土地をきちんと認め保護すべきだった。先住民の土地の開拓を求める人々を政府が大っぴらに支援するのは極めて恥ずべきことで、ブラジル先住民の権利を何十年分も後退させている」と非難した。

 バーレドジャバリの先住民居住区は北部アマゾナス(Amazonas)州の州都マナウス(Manaus)から約1200キロに位置し、面積は約8万5000平方キロ。

 テメル大統領は、アマゾンの熱帯雨林の広大な土地を切り開いて大規模な採鉱を行うことを認める法令に署名したが、ブラジルの裁判所は先週、差し止めを命じている。(c)AFP