【9月9日 CNS】最近あるメディアが、名門・北京大学(Peking University)敷地内の古鐘などの文化財が落書きなどの被害に遭っていると報道し、中国で話題になっている。

 記者は8月30日午前、同大学敷地内の未名湖(Weiming Lake)の西側にある古鐘を訪れた。外観からは特にその様子は確認できない。鐘つき堂は危険です。落下注意。けがに注意。手を触れないでください。鐘を突かないでください。揺らさないでください。文化財愛護。監視カメラ設置──。鐘つき堂の入り口には、さまざまな注意書きが張られており、確かに監視カメラが設置してあった。

 しかし、古鐘の内側を見てみると、少しの隙間もないほどびっしりと落書きが書かれていた。何と書いてあるのか判別できないものが多い。

 判読できる内容では、ほとんどが「北京大学に入りたい」など、北京大学に関する「メッセージ」で、その他にも「〇〇、一生愛している」などの愛の告白も少なくなかった。中国語以外にも、アルファベットやハングルなども見受けられた。

 付近で運動をしていた男性が、「落書きのほとんどは、もう何年も前からあるよ」と教えてくれた。

 報道によれば、この古鐘は100年余りの歴史を持ち、かつて李鴻章(Li Hongzhang)の北洋艦隊で時報として使用されていた由緒正しい鐘だ。その後、中華民国時代に設立された燕京大学(Yenching University)でチャイムとして使用されていた。鐘の表面には、荒れる海とその水平線から昇る朝日が彫刻されており、満州語と漢語で「大清国丙申年捌月制(清朝時代、ひのえさる年、8月製造)」と記されている。

 落書きされた北京大学敷地内の文化財はこの限りではない。鐘つき堂の東側にある慈済寺山門遺跡にも、一度消された形跡はあるがやはりたくさんの落書きが残されていた。古鐘の内側と同じようなことが書かれている。近年は校内の文化財保護を進めており、柵を設けたり、監視カメラを設置したりするなどの対策を取っている。

 また、清華大学(Tsinghua University)の日時計や、大学の象徴である「二校門」にも落書きが発見されている。同大学関係職員によると、学校側はすでに現場調査を行っており、近く修繕作業を行うということだ。また、さらに詳しい調査の結果がわかり次第、校則に従って、もしくは関連部署に通知し、法的措置を取るとしている。

 北京大学では、北京大学燕園文化遺産保護協会という名の学生サークルが2013年に設立され、学生を中心とした保護活動が積極的に進められている。校内の30か所以上の文化財にQRコードの看板を備え付け、紹介文を参照できるようにした。サークルの会長は、「観光客の関心に応えられるし、保護意識を喚起することにもつながる」と話す。

 同保護協会では定期的に校内の文化財の実地調査を行って現状を学校の関連機関に報告しており、休暇期間には「文化財愛護、落書き禁止」の署名活動も行っている。また、文化財解説チームを結成し、解説と共に文化財の保護を訴えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News