【8月30日 AFP】2011年の第13回世界陸上大邱大会(13th IAAF World Championships in Athletics Daegu)に出場した選手のうち、少なくとも3割が薬物の使用経験を認めたという調査報告が公表された。調査は独テュービンゲン大学(University of Tuebingen)と米ハーバード・メディカルスクール(Harvard Medical School)が2011年に実施したもので、法的な理由によりこれまで公表は控えられていた。

 世界反ドーピング機関(WADA)の承認を得て行われたこの調査では、6年前の世界陸上に出場した選手のうち、少なくとも30パーセントが薬物違反を犯していたという数値が示されているが、実際の割合はもっと高いとされている。大会中に実施された通常の薬物検査で陽性となった選手は、わずか0.5パーセントだった。

 テュービンゲン大学のチームによると、公表がここまで遅れたのは、発表の形式についてWADAと国際陸上競技連盟(IAAF)の間で話がまとまらなかったからだとしている。ドイツ陸上競技連盟(DLV)のクレメンス・プロコップ(Clemens Prokop)会長は、独スポーツ通信社SIDに対し、「私は以前から公表を求めてきた」と語った。

「ドーピングとの闘いにおけるガイドラインはただ一つ、100パーセントの透明性だ。数字を見れば一目瞭然。調査チームがどんな質問をしたか、データがどれだけ信用できるものかを、私が知っている事実は別にしても、結果にはとてつもない価値がある」

 研究チームは、同じく2011年にカタールで開催されたパンアラブ競技大会(2011 Pan-Arab Games)でも同様の質問を行ったが、その数値は45パーセントまで上がったという。チームは2大会合計で5000人以上の参加選手のうち、合わせて2167人に匿名調査を実施した。

 ドーピングの問題は近年、陸上界に暗い影を落としており、2016年のリオデジャネイロ五輪では、国家ぐるみの薬物違反が発覚したロシアが大会から締め出された。

 2008年の北京五輪と2012年のロンドン五輪についても、新しい手法を使って以前のサンプルを再検査したところ、新たに100人以上の選手に違反が見つかったことが、国際オリンピック委員会(IOC)の調査で明らかになっている。(c)AFP