■世界初

 同社が研究を進める「コニク・コレ」は、匂いをかぎ分けることによって対象物を検知する「世界初」の機器だ。アガビ氏によると、基本的には空気を取り込んでかぎ分けるのだという。コニク・コレには大手旅行代理店なども興味を示している。

 コニク・コレの主な課題の一つは、ニューロンを生かし続ける方法を見つけることだった。研究施設では2年間、機器内部では2か月間しか生きた状態をキープできなかったというのだ。

■5~7年以内に「ヒューマノイドシステム」

 AIが人間の能力を超えてしまう危険性について繰り返し警告してきたマスク氏は現在、人間が機械を主人に持つ「飼い猫」のようになるのを避けるため、人の脳とコンピューターを直接つなぐ「ニューラルレース(Neural Lace)」という技術を使った新たなプロジェクトに取り組んでいる。

 しかしアガビ氏は、機械をより「生かす」ことでAIの未来は広がると信じている。コニクでは、生きた人工神経をベースに認識能力のあるヒューマノイドシステムを今後5~7年以内に完成させるとの見通しを立てている。

 AFPの取材には「これはSFではない」「われわれは、人の脳ではなく、生体ニューロンの脳、すなわち知能を持つ自律システムを作りたいのだ」と語った。

 アガビ氏は、ナイジェリア・ラゴス(Lagos)の大学で理論物理学を専攻し、英ロンドン(London)へと渡り、神経科学と生物工学の博士号を取得した。(c)AFP/Fran BLANDY