【9月1日 CNS】中国工業情報化部(MIIT)辛国斌(Xin Guobin)副部長が8月23日発表したところによると、中国のロボット産業の規模が急速に拡大しており、2017年末までには62億8000万ドル(約6880億円)に達すると推測されるという。同日に北京(Beijing)で開催された2017世界ロボット大会で述べた。

 辛副部長によると、中国におけるロボット産業の成長率は、この5年間で基本的に20%以上を維持し、世界のロボット産業が安定的に成長する重要な力になっている。特に工業ロボット分野では、今年前半の生産台数は5万9000台(前年同期比52%増)で、5年連続で世界一大きいアプリケーションマーケットになり、世界工業ロボット市場における中国製品の比率は、現在の1/4から1/3に引き上げられるだろう、と指摘している。

 中国のロボット産業は近年、急速に発展してきたが、成熟産業に比べればまだ初期段階にある。技術製品は豊富ではなく、産業全体の規模も小さい。応用できる分野はまだ非常に限られており、まだ先進的製造業や人々の生活の需要を満たせる状態ではない。しかしだからこそ、中国のロボット産業発展の潜在力は巨大だ。

 中国の産業発展は現在、3つの大きな歴史的チャンスに直面している。

 1点目は、巨大な市場の底力である。人口構造と生産方式の転換に伴い、ロボットに対する需要が大幅に増え、すでに世界で最も重要なロボット市場になりつつある。工業ロボットのユーザーはすでに外資系企業や外資と中国企業による合弁企業から、中小企業を含む国内企業へとシフトしている。例えば、珠江デルタ(Pearl River Estuary)地域では、工業用ロボットの年平均成長率は30%にも達している。また、サービスロボットは広大な消費者に向けて直接展開しており、将来的には工業用ロボットよりも大きな市場空間が望まれる。深度のある学習技術の持続的発展と「クラウドサービス」のプラットフォームの使用範囲が広がるのにつれて、家庭用ロボットは真っ先に数百億ドル規模のグローバル市場を形成するだろう。

 2点目はオープンイノベーション体勢と、「ウィンウィン」の理念。近年、中国のロボット産業は技術、生産、販売、人材、基準、資本などの分野で多国籍企業や国際機関と良好な連携を強化し、関連部品企業を含む世界的に有名なロボット企業の多くは、すでに中国で開発生産拠点を設立している。また、中国ロボット企業の国際化ペースも着実にアップしており、いくつかの先導的企業の製品はすでに輸出され、続々と海外で研究開発センターや産業パークさらには産業都市を設立している。

 3点目は、新興技術の急速な発展により、人工知能(AI)分野で突出する見込みがあること。中国は人工知能技術の面では世界水準に達しており、特に画像認識、音声認識、語義識別などの分野では世界でもトップレベルに近い。人工知能ロボットの発展、は国内産業を「追随」状態から「超越」へと成長する突破口となるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News