■天災ではなく人災との指摘も

 違法建築が最も多いのはカラブリア(Calabria)州で、シチリア(Sicily)州とバジリカータ(Basilicata)州がそれに続く。

 ただ専門家らが「イタリアのロシアンルーレット」と呼ぶのは、ナポリ(Naples)やイスキア島があるカンパニア(Campania)州だ。違法家屋に加え、高い人口密度、活火山のベズビオ(Vesuvius)火山と、非常に危険な要因が重なっている。

 カンパニア州内で最もリスクの高い地区には、学校4500校以上、病院259か所、建物90万件近くが存在する。

 ナポリにあるイタリア国立地球物理学火山学研究所(INGV)のステファノ・カルリーノ(Stefano Carlino)研究員は、「少なくとも過去20年間、科学界は関係機関に問題を説明し、何より防災対策を促してきた」と話す。

 同国ではちょうど1年前に中部で発生した地震でも、299人が犠牲になった。地質学者のマリオ・トッツィ(Mario Tozzi)氏は、子どもたちががれきの下に生き埋めにされるのは天災のせいではない、「腐敗や政治の無力さ、われわれ国民の歴史から学ぶ能力の欠如」のせいだと断じている。(c)AFP/Ella IDE