【8月24日 AFP】英内務省が、英国内に在留する欧州連合(EU)市民のうち約100人に国外退去を求める通知を誤って送っていたことが23日、明らかになった。英国に暮らすEU市民の不安をあおるものだと親欧派からは非難の声が上がっている。

 英国人と結婚し、ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London)に勤務する近代英国史が専門のフィンランド人歴史学者、エバ・ヨハンナ・ホルムベリ(Eva Johanna Holmberg)氏も通知を受け取った一人。

 ホルムベリ氏は長年英国に暮らしているが、先週受け取った内務省の通知書には、1か月以内に国外退去しなければ同省が「退去命令」を出すと記されていた。通知書は、同氏を「移民法により拘束される可能性のある人物」と明記していたという。

 ホルムベリ氏は23日、英BBCに対し「わが目を疑った」と語り、異議申し立てが可能かどうか弁護士に相談したと明かした。

 ホルムベリ氏の一件は騒動になり、内務省は同日、誤通知だったとして謝罪を余儀なくされた。内務省報道官によると、同様の通知が約100人に送付されており、現在、通知内容を無視して構わない旨を順次伝えているという。

 英国は現在、EU離脱(ブレグジット、Brexit)後の英国内に住むEU市民とEU圏内に暮らす英国人の在留資格について、EU側と協議を行っている。離脱の是非を問う英国民投票では移民が最大の争点の一つで、離脱決定後に就任したテリーザ・メイ(Theresa May)英首相は、英国に移住するEU市民の人数削減を公約している。(c)AFP