■「ヘルマンドといえば麻薬」

 この専門家はまたAFPに対し「初歩的な生産工場をつくるのは簡単だ。土壁にわらぶき屋根の建物で十分で、あとは作業が済んだら引き揚げてしまう」と話した。

 アフガニスタン内務省によると、麻薬捜査当局によって閉鎖された麻薬生産工場は、昨年1月から6月は16か所だったが、今年の同時期は46か所に上っている。こうした摘発によって密売業者らは約3億ドル(約330億円)の収入を逃したと、米麻薬取締局(DEA)はみている。

 欧米諸国のある高官もまた、タリバンが南部ヘルマンド(Helmand)州に自らの工場を持っていると確信しており、アフガニスタンのケシの80%が栽培されているという同州のことを、「巨大な麻薬工場」と表現し、さらに、「ヘルマンドといえば、麻薬、ケシ、タリバンだ。タリバンの資金源は大方、ケシとモルヒネ工場、ヘロイン工場だ。もちろん彼らは自らの工場を持っている」と話した。

 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、昨年のタリバンの収入の半分はアヘンの生産によってもたらされたとみている。アフガニスタン内務省麻薬対策局の報道官は「タリバンは戦闘態勢を維持し、銃を買うためにさらに資金を必要としている。だから麻薬生産工場を運営するようになった」と説明している。(c)AFP/Anne CHAON