【8月24日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島について、フランスの複数の援助団体は23日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系武装勢力と政府軍による戦闘が続いているのに加え、異常気象にも見舞われているため、破滅的な人道危機に陥っていると警鐘を鳴らした。

 ミンダナオ島では5月下旬、ISを支持する数百人の武装勢力がマラウィ(Marawi)の一部を占拠。米軍の支援を受ける政府軍のほか、フィリピン最大のイスラム武装組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」もこの武装勢力との戦闘を続けている。これまでの戦闘で700人以上が死亡している。

 フランスのNGO「ACTED」のフィリピン支部長を務めるチボー・アンリ(Thibault Henry)氏はAFPに、ミンダナオ島では約100万人が自宅から避難を余儀なくされており、「必需品も足りていない」と述べた。フィリピン政府は7月上旬、避難民の数を40万人と発表していた。

 アンリ氏はミンダナオ島の状況について「大きな人道危機、破滅的状況なのは明白だ。今後、何年にもわたって影響が出るだろう」と警告。ミンダナオ島の住民の半数以上が貧困状態にあるとも訴えた。

 一方、フランスなどに本部を置く国際NGO「ハンディキャップ・インターナショナル(Handicap International)」のバネッサ・カルダモン(Vanessa Cardamone)氏は、紛争に異常気象が加わり「複合危機」となっていると指摘。避難民のうち仮設の施設に入っている住民は6%に過ぎず、ほとんどは個人宅に身を寄せているという。(c)AFP