【8月23日 AFP】エジプト内務省は22日、「人体臓器の売買に特化した大規模な犯罪ネットワーク」に関与した疑いで、医師と看護師を含む12人が逮捕されたことを明らかにした。

 国連(UN)によると、エジプトでは毎年、数百人に上る貧困層が、生活や借金返済の目的で自身の腎臓や肝臓を売っているという。

 内務省の発表によると、この臓器売買ネットワークは「人々の経済的な困窮につけ込み、多額の現金と引き換えに自身の臓器の一部を外国人患者に受け渡すことで、エジプト人(提供側)と合意を交わしていた」という。

 内務省は声明で、逮捕された12人の内訳を医師3人、看護師4人、病院職員3人、エージェント2人としている。この中には、エジプト・大カイロ(Greater Cairo)都市圏のギザ(Giza)県にある「私立病院で、市民1人の腎臓と肝臓の一部を摘出するための手術を実行中に」逮捕された者もいる。

 この摘出手術を受けていた男性は、自身の臓器を1万ドル(約110万円)で売却。手術を行っていた容疑者らは、摘出した臓器を別の患者に移植する計画を立てていた。

 内務省は、男性の容体に関する詳細や、逮捕の日時については明らかにしなかったが、摘出手術が行われていた病院は捜査が終わるまで閉鎖されると述べた。

 エジプトは、世界保健機関(WHO)が2010年に発表した臓器違法取引の世界ワースト5か国に入っている。

 エジプト議会は2010年、夫婦間を除く外国人とエジプト人の間での臓器売買や臓器移植を禁止する法案を可決。法律は、臓器移植を規制し、違法取引や移植手術のための医療ツーリズムに歯止めをかけることを目的としていた。

 2012年、アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連難民高等弁務官(当時)は、エジプト・シナイ半島(Sinai Peninsula)の移民らが臓器のために殺害されていることを警告していた。

 当局は昨年12月にも、医師や大学教授を含む25人を臓器売買ネットワークに関与した疑いで逮捕している。(c)AFP