【8月23日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は22日、クロスカントリースキー女子のテレーセ・ヨーハウグ(Therese Johaug、ノルウェー)に科されていたドーピング違反による資格停止処分を18か月に延長すると発表した。これにより、同選手は2018年平昌冬季五輪出場が不可能となった。

 ノルウェーオリンピック・パラリンピック委員会(NIF)は今年2月、ドーピング検査で禁止ステロイドに陽性反応を示したとして、ノルディックスキー世界選手権(FIS Nordic World Ski Championships)で通算7個の金メダルを獲得しているヨーハウグに対し、13か月の資格停止処分を科した。

 しかしながら、国際スキー連盟(FIS)は翌月、NIFの決定は寛大すぎるとして、CASに処分延長を求める申し立てを行っていた。

 今回の処分延長を受け、ライブストリーミング形式の記者会見を開いたヨーハウグは「本当に打ちのめされている。五輪に出ることを夢見ていたが、昨日になって不可能だと告げられた」、「処分は理解できない。不当だと思う」と涙ながらに語った。

 2010年バンクーバー冬季五輪の20キロメートルリレーで金メダルに輝いたヨーハウグは、2016年9月16日に実施された抜き打ち検査で、世界反ドーピング機関(WADA)によって禁止薬物に指定されるアナボリック・ステロイド(anabolic steroid)のクロステボール(clostebol)に陽性反応を示した。

 ヨーハウグによると、検出されたステロイドはチームドクターから与えられたトロフォデルミン(Trofodermin)と呼ばれるリップクリームに含まれていたもので、昨年8月下旬に行われたイタリアの高地トレーニングで唇の日焼け止めとして使用したという。

 リップクリームに含まれたステロイドは、パフォーマンスを向上させるに十分な量ではないとして、ヨーハウグが故意に違反行為を犯した可能性については排除したCASだったが、同選手には「リップクリームのパッケージを確認する注意義務を怠った」と過失責任があったことを説明した。

 今回の決定を受け、2018年4月18日までの処分延長が決まったヨーハウグは、同年2月9日から25日にわたって開催される平昌冬季五輪には間に合わない結果となった。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES