【8月23日 AFP】リビアのアリ・ゼイダン(Ali Zeidan)元首相(67)が、戦火で荒廃した首都トリポリ(Tripoli)で武装集団に拉致され、9日間にわたって消息不明となっている。前首相の家族と友人が22日、明らかにした。

 ゼイダン氏は2012年11月に首相に就任したが、2014年3月に公金を横領したとして解任された。解任後まもなく、検事総長が発した渡航禁止命令を無視してリビアを離れた。

 ゼイダン氏に同行していた友人のカラム・ハリド(Karam Khaled)氏によると、ゼイダン氏は8月初め、解任後初めてリビアに帰国。トリポリで批判者に対応するための記者会見を行う予定になっていた。ゼイダン氏の帰国は、国連(UN)が支援している統一政府(国民合意政府、GNA)が空港での出迎えやホテルの予約も含めて手配したものだったとハリド氏は語った。

 武装集団は12日にもゼイダン氏の拉致を試みていたが、そのときはホテルの警備員によって阻止されたという。

 ハリド氏は、武装集団は統一政府とつながりのある民兵組織「トリポリ革命旅団(Tripoli Revolutionary Brigade)」だと述べた。同組織は、北大西洋条約機構(NATO)が介入し、長きにわたってリビアで独裁体制を敷いた故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐政権の崩壊とカダフィ大佐の死につながった2011年の騒乱では反体制派だったという。

 ハリド氏は「同じ武装集団の戦闘員が翌日再び現れたので、われわれはゼイダン氏を彼らに引き渡すほかなかった」、「それ以来、彼(ゼイダン氏)が捕らわれている場所や彼の状態について、一切情報は入ってきていない」と述べ、ゼイダン氏の拉致について「沈黙」を続ける統一政府を非難した。

 ゼイダン氏の息子のゼイダン・ゼイダン(Zeidan Zeidan)氏が、現在暮らしているアラブ首長国連邦(UAE)から電話で語ったところによると、家族の元にもゼイダン氏の行方についての情報は一切届いていないという。

 カダフィ政権崩壊後のリビアは治安が悪化し、政治家らはリビアの覇権をめぐって互いに争っている武装勢力に頼っている。(c)AFP